この記事の内容
3観点とは何か
2021年度(令和3年度)に中学校で新しい学習指導要領が全面実施され、それまでの4観点(関心・意欲・態度 / 思考・判断・表現 / 技能 / 知識・理解)が廃止された。代わりに導入されたのが、次の3観点だ。
現行の3観点(2021年度〜)
各教科の基礎的な知識や技能を習得しているか。
習得した知識・技能を使って問題を解いたり、考えを表現したりできるか。
粘り強く取り組み、自分の学習を自分で調整しようとしているか。
この3観点は、学校教育法が定める「学力の3要素」と対応している。つまり法律レベルで「学校で身につけさせるべきもの」として定められた軸に沿って、通知表の評価が設計されている。
観点①:知識・技能
もっともイメージしやすい観点。授業の内容を理解し、覚えているかどうかを評価する。ただし単なる暗記だけでなく、「習ったことを別の場面にも使えるか」という応用的な理解も含まれる。
何で評価されるか
定期テスト(知識・理解を問う問題)が主な材料になる。理科や技術・家庭などでは観察・実験・実技の結果も含まれる。英語なら語彙や文法の正確さ、数学なら計算の正確さも該当する。
評価の例
- 定期テストで基礎・知識問題を正確に解けている
- 理科の実験操作を正しく行い、結果を正確に記録できる
- 英語で習った文法を使って正しい文が書ける
観点②:思考・判断・表現
知識を「持っているか」ではなく、「使いこなせるか」を見る観点。習ったことをもとに、自分で考え、判断し、それを相手に伝えられるかが問われる。現代の入試でも重視されているのがこの力だ。
何で評価されるか
定期テストの記述・応用問題、レポート・発表、グループディスカッションへの参加、作品制作など、多様な形で評価される。問いに対して理由や根拠をつけて答える場面がこの観点に直結する。
評価の例
- テストの記述問題で、考えの筋道を書いて答えられる
- 国語の読解で、本文を根拠に自分の意見を述べられる
- 理科や社会のレポートで、データをもとに考察を書ける
観点③:主体的に学習に取り組む態度
3観点の中で最も誤解されやすい。かつての「関心・意欲・態度」と似て見えるが、別物だ。挙手の回数や授業態度の良さを評価するのではない。文部科学省は「表面的な形式ではなく、自らの学習を調整しようとしているか」という内面的な姿勢を評価するよう明確に示している。
2つの側面で評価される
粘り強く取り組もうとする側面
難しくてもあきらめずに試行錯誤を続けようとしているか。一度うまくいかなくても、別の方法を探すなどの姿勢が該当する。
自らの学習を調整しようとする側面
「このやり方では理解できていない」と気づき、自分で学習の進め方を見直そうとしているか。振り返りや自己評価の場面で表れやすい。
何で評価されるか
ノートやレポートの記述内容、授業内の発言、振り返りシート、提出物の状況などが材料になる。ここで注意したいのは、提出物の遅れや未提出はこの観点に直接響くという点だ。「取り組もうとしていない」と判断されてCになりやすい。
ABCが評定1〜5に変わる仕組み
3観点それぞれがA・B・Cの3段階で評価されたあと、その組み合わせをもとに1〜5の評定(内申点)が決まる。ただし換算ルールは各学校が独自に設定するため、全国共通のルールはない。
よく使われる換算の考え方(例)
| 3観点の組み合わせ(例) | 評定の目安 |
|---|---|
| A・A・A | 5 |
| A・A・B または A・B・A | 4〜5 |
| A・B・B または B・B・B | 3〜4 |
| B・B・C または B・C・C | 2〜3 |
| C・C・C | 1〜2 |
※あくまで一般的な例。実際の基準は学校・教科によって異なる。
3観点の数値を均等に足し算する学校もあれば、教科の特性に応じて重み付けを変える学校もある。たとえば「知識・技能」を重視する教科では①の比重が高くなることもある。気になる場合は、学校が配布するシラバス(評価基準の説明)を確認するのが確実だ。
1つの観点がCだと評定は大きく下がる
3観点がバラつくと評定にロスが出やすい。たとえばテストの点数が良くて①②がAでも、③が提出物の未提出等でCになれば、評定4は難しくなる。逆に言えば、③の観点を安定させるだけで評定が1段上がるケースも多い。
観点別評価を上げるには
3観点を理解したうえで、何をすればどの観点が上がるかを把握して動くのが効率的だ。
①知識・技能を上げる
定期テストで基礎問題を確実に取る。教科書の用語・公式・文法を繰り返し確認し、ミスを減らす。小テストや確認問題にも丁寧に取り組む。
②思考・判断・表現を上げる
記述問題に「なぜなら〜だから」と理由をつけて答える習慣をつける。レポートや発表では結論だけでなく根拠を書く。グループ活動での発言を意識的に増やす。
③主体的な態度を上げる
提出物を期限内に出すことが最低条件。振り返りシートや自己評価欄には「どこが難しかったか」「次にどうするか」を具体的に書く。授業で疑問が出たときは質問する。
A・B・Cと評定1〜5の関係を詳しく理解する
3観点の評価(A・B・C)から評定(1〜5)への変換ルールは、文部科学省が公表している「観点別評価と評定の関係」をベースに、各学校が運用ルールを定めている。一般的な目安は以下のようになる。
| 3観点の組み合わせ | 評定の目安 | 説明 |
|---|---|---|
| AAA | 5 | すべての観点で「十分満足できる」状態。トップクラスの評価。 |
| AAB / ABA / BAA | 4 | 2観点でA、1観点でB。バランスが取れていれば4で確定。 |
| ABB / BAB / BBA | 3 または 4 | テスト点数や学校の運用次第。境界線上の評価。 |
| BBB | 3 | すべて「おおむね満足」のレベル。標準的な評価。 |
| BBC / BCB / CBB | 2 または 3 | 1観点でCがつくと評定全体が下がる。 |
| BCC / CBC / CCB | 2 | 2観点でCがつくと評定2に下がる可能性大。 |
| CCC | 1 | すべての観点で「努力を要する」状態。要改善。 |
重要:1つの観点でCがつくとどうなるか
たとえテストで90点を取って「知識・技能」がAでも、「主体的に学習に取り組む態度」がC(提出物の遅れ・授業態度の悪さなど)だと、評定はACA→ABC相当に下がり、評定3〜4止まりになる可能性がある。逆に、テスト60点でも3観点すべてA(提出物・授業態度・振り返りが完璧)なら評定5を取った実例も報告されている。
教科ごとの3観点の重視ポイントの違い
3観点は全教科共通だが、各観点に何が含まれるかは教科で異なる。教科担当の先生のシラバスを確認することが第一歩だ。
国語
知識・技能:漢字・文法・古典の知識。
思考・判断・表現:読解力・記述力・発表での論理性。
主体的態度:日常の読書・自主的な調べ学習・振り返りの深さ。
数学
知識・技能:定期テストの計算・公式運用。
思考・判断・表現:応用問題・証明問題・記述問題。
主体的態度:ワークの解き直し・間違いノート・粘り強い取り組み。
英語
知識・技能:単語・文法・リスニング・スピーキング技能。
思考・判断・表現:英作文・スピーチ・対話の発展性。
主体的態度:自主的なリスニング・英語日記・授業中の発言。
理科
知識・技能:実験・観察の技能、専門用語の理解。
思考・判断・表現:実験レポートの考察・仮説の設定。
主体的態度:実験への積極参加・追加調査・振り返りの質。
社会
知識・技能:年代・人物・地名・用語の暗記。
思考・判断・表現:資料の読み取り・論述・現代との関連付け。
主体的態度:時事ニュースへの関心・調べ学習の深さ。
実技4教科
知識・技能:実技の上手さ・専門知識のテスト点。
思考・判断・表現:作品の独創性・工夫の言語化。
主体的態度:授業の準備・片付け・振り返りの具体性。実技4教科ではここが特に重視される傾向。
実例:3観点評価のケーススタディ
具体的な3観点評価のケースを見ながら、どこを改善すれば評定が上がるか考えてみよう。
ケース1:テストはいいのに評定が4止まり(中3・男子・数学)
状況:定期テスト平均90点。観点はAAB(主体性がB)。
原因:ワークの解き直しをしていない、振り返りシートが浅い、授業中に質問しない。
対策:①ワークに「解き直しの跡」を残す(×印→再度解く→○印)。②振り返りに「今回つまずいたポイントと、次回どう対策するか」を書く。③授業後に1問でも質問しに行く。
結果:1学期後にAAAに変化、評定5に到達。
ケース2:頑張っているのに評定3が続く(中2・女子・国語)
状況:定期テスト平均70点、提出物は出している。観点はBBB。
原因:提出物を「出すだけ」になっており質が低い、レポートで自分の意見を書いていない。
対策:①ワークの記入量を1.5倍に、感想欄も埋める。②レポートで必ず「自分はこう思う、なぜなら」を入れる。③読書記録を週1で先生に提出する自主活動を始める。
結果:2学期にABB、評定4に上昇。
ケース3:実技で評定2を取ってしまった(中3・男子・美術)
状況:絵が苦手で作品が雑、振り返りも「楽しかった」程度。観点はBCC。
原因:技能評価Cはセンスの問題で短期改善は困難。しかし「主体的態度」と「思考・判断・表現」は改善可能。
対策:①制作過程のスケッチ・メモを充実させる。②振り返りに「○○の表現に挑戦した、次は△△を意識したい」を書く。③制作中に先生に「ここはどう改善できますか」と相談する。
結果:3学期にBBB相当、評定3に上昇。
まとめ
この記事で押さえたいポイント
- 内申点(評定)のもとになる観点は、2021年度から3観点(知識・技能 / 思考・判断・表現 / 主体的に学習に取り組む態度)に整理された
- 3観点はそれぞれA・B・Cの3段階で評価され、その組み合わせから評定1〜5が決まる
- 換算ルールは学校・教科によって異なるため、シラバスや説明資料で確認するのが確実
- ③の「主体的に学習に取り組む態度」は挙手の回数ではなく、自分で学習を調整しようとしているかが評価される
- 提出物の期限遅れや未提出は③の評価を下げる直接的な原因になる
- 1つの観点だけが低いと評定全体が下がりやすいため、3観点をバランスよく意識することが大切
3観点を把握しておくと、「テストの点は悪くないのに評定が上がらない」という状況の原因が特定しやすくなる。通知表が返ってきたときは、評定だけでなくA・B・Cの組み合わせまで確認する習慣をつけてみよう。
自分の内申点を整理してみよう
My Naishinでは教科ごとの評定を記録・管理できます。観点別評価も一緒に振り返ることで、次の学期に向けた具体的な対策が立てやすくなります。
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